健康サポートレター vo1
「眠る」ってどういうこと?
起きている状態と眠っている状態の境界線
起きている状態と眠っている状態の境界線
「眠る」とは、どういうことでしょうか。横になって目をつむっていても、頭が冴えていろいろなことを考えているような状態は、「眠っている」とは言えません。

試みに「眠る」を辞書で引くと、「目を閉じ心身の動きが一時的に低下して無意識になった状態に入ること」といった具合に解説されています。どうやら、目をつむるだけではなく、「無意識になる」ことが眠りには必要なようです。
「眠り」はなぜ必要?
では、なぜ人は、毎日ある程度の時間「無意識になる=眠る」必要があるのでしょうか。意識は脳の働きによって成立しています。ですから、意識を低下させる必要があるということ、つまり「眠り」とは、脳の働き過ぎを解消するため、脳を休ませるための営みだと考えられます。

 体に疲れがたまったとき、例えば筋肉痛になったとき、どうするでしょう。その筋肉をしばらく使わないようにいたわって、痛みをとろうとしますね。それと同じように、日中に働き過ぎると脳に疲れがたまります。その疲れをいたわるため、「眠り」が必要というわけです。

脳の重さは全体重のわずか2%相当しかありません。でも、消費するエネルギーは全消費量の18%にもなります。それだけ活発に働いているのですから、よく眠って、ゆっくり休ませてあげる必要があるのです。ある研究によると、17時間連続で起きているときの脳の働きは、酒気帯び運転として取り締まり対象になるレベルまでに低下し、さらに24時間起きていると、ビールの大瓶を1本飲んだときくらいにまで低下するそうです。
日本人の「睡眠負債」は世界一!
睡眠が脳にとってとても大切であることはご理解いただけましたね。でも、家事や仕事が立て込んでくると、ゆっくり眠っているわけにもいかず、睡眠時間を削ってなんとか時間をひねり出さざるを得なくなります。でもそれは、その場しのぎの対応に過ぎません。解消しきれなかった脳の疲れは、日に日にたまっていくからです。

そのような睡眠不足の積み重なりが脳にかける負担のことを、「睡眠負債」といいます。睡眠負債が積もってくると脳の働きが低下して、仕事や作業の効率が下がります。そうなると仕事がどんどんたまっていき、さらに睡眠時間を削ることになり、ついには債務超過になってしまいます。心や体の健康を保てなくなるということです。

そして実は、日本人の睡眠時間は、平均で7時間22分。世界で最も短いことが経済協力開発機構(OECD)から報告されています。日本人の睡眠負債は世界一ということです。OECD加盟国の平均は8時間25分ですから、実に1時間も短い時間しか眠っていないのです。

さらに、日本人の睡眠負債が年々増えていることを示す調査結果もあります。2012年の厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では「睡眠で休養が十分にとれていない」と回答した人は15.6%でしたが、これが6年後の2018年には21.7%、つまり5人に1人へと増えていたのです。
「時間」だけでなく、睡眠の「質」も大切
 脳の疲れをとるには、十分な睡眠時間を確保することのほかに、もう1つ大切なことがあります。それは睡眠の「質」です。

「たっぷり寝たのに、眠った気がしない」ということはありませんか? もし思い当たるなら、睡眠の質が良くないのかもしれません。反対に、毎朝、目覚めたときの気分が爽快なら、「質の良い眠り」を保てている証拠です。

睡眠の「時間」と「質」は、脳の疲れをとる上で車の両輪のような存在です。起きている間はいろいろ煩わしいことが尽きないものですが、せめて眠っている間は「無意識」になって、脳を休ませてあげましょう。
「時間」だけでなく、睡眠の「質」も大切
次回の「健康サポートレター」では、『目で物が見えるのはなぜ?』をお届けする予定です。